「呼吸」による後押しで、さらに声をパワーアップ!
これまで「響きのある声」「太い声」の話をしてきました。
発声の3要素である、「共鳴」と「声帯」の部分です。
そろそろ、「呼吸」についても書かなければなりません。しかし、話の展開がこの順番になったのも理由があります。
斉田先生の本から引用します。
呼気が強ければ、声帯は大きく振動するが、それには呼気の強さに耐えられる声帯筋の緊張と声門閉鎖が必要である。呼気の強さと声帯筋の緊張のバランスが保たれて初めて声帯が振動することになる。
一般的な感覚では、大きな声を出すには、たくさん息を吐けばいいんじゃね?と思います。
ところが、これではうまくいかない場合があります。優しい感じで話す人、ささやき声、裏声みたいに話すような人は、いくら息をたくさん吸ってたくさん吐きながら発声しても、よく通る声にはならないのです。
なぜならば、「声門閉鎖」が少ないからです。
太い声を出すには、声帯を圧着させ、接触面を増やすことが効果的であることは述べました。そのために「声門閉鎖」が必要なのです。理想的には、声帯筋(声帯に並走している筋肉)や、内筋(声帯を閉じる筋肉)の働きのみで「声門閉鎖」を行うことです。
これがされていないと、いくら息をたくさん吐いても、声帯が十分振動してくれず、大きい声が出ないわけです。息漏れの多い声になってしまうのです。この原理も、想像に難くないですね。
「呼吸」が、発声の3要素の中では応用的な部分であることも述べました。「声帯」のコントロールと理解がある程度されてから呼吸の練習に進まないと、肩すかしのようになってしまうと思います。
そして、ここから先も重要です。
逆に言うと、「声門閉鎖」がされた声帯を充分に振動させるためには、強い呼気を当てることが必要だ、ということになるのです。「声門閉鎖」が出来るようになって、それを強く振動させるために、呼吸の重要性が出てくるということです。
「声門閉鎖」の練習をしていると、「この声って、使い物になるのかな?」と思うことがあります。音量的にも小さいし(特に高音)、どちらかというと変な声です。これを使えるいい声にするためには、「共鳴」や「呼吸」のテクニックが必要になるのです。
呼吸量を増やすために、腹式呼吸は有効です。胸式呼吸+腹式呼吸(この二つは、同時に行うことが出来ます)で使える息の量が増えれば、それを調節して強い息を出し続けることも可能ですね。練習としては、吐ける息の量を増やせるように腹式呼吸を習慣化すること、持続的に強い息を出し続けることが出来るようにリップロールやタングロールを頻回にすること、です。
発声の仕組みと、練習方法の意味をよく理解しながら、トレーニングに励んでいきましょう。
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