混乱の元凶・・・声区(register)問題にケリをつける!

混乱の元凶・・・声区(register)問題にケリをつける!





地声、裏声、ファルセット、胸声(チェストボイス)、頭声(ヘッドボイス)、ミドルボイス、

ミックスボイス、ホイッスルボイス、デスボイス、ボーカルフライ・・・

思いつくままに挙げてみましたが、いわゆる声の種類です。普段からよく使っているものもありますし、初耳のものもあるでしょう。

「サビの所で、声がひっくり返って裏声になっちゃうんだよね」

「マライア・キャリーの超高い声、ホイッスルボイスっていうの?すごいよね」

「胸に響かせる声、これをチェストボイスと言います。いわゆる地声の事です」

これだけ種類があると、体系的に分類したくなるのが人の性(さが)です。色々な人が、色々な説明しています。一体どれが正しいのか?疑問と混乱のボイトレ事情です。

斉田先生は、著書「声の科学」で、このように述べています。

声の科学: 歌う医師があなたの声をデザインする

声帯の観察を初めて行ったといわれるスペイン人の声楽教師のM.ガルシア(M.Garcia 1805-1906)の著書では、声区とは同一の喉頭調節によって発声される同じ音色の音域と定義している。

“声区”の定義です。ポイントは、「喉頭調節の様式」で分類する、という所。頭声、胸声、といった分類は・・・喉頭調節の様式ではないことが、素人でも分かります。

呼気での主な声帯の振動様式は、ハイスピードカメラ映像で示したように、ボーカルフライ、地声、裏声、ホイッスルボイスの4種類であり、これは音声学上従来から声区と呼ばれている。

斉田先生は、歌っている時の声帯の動きをハイスピードカメラで撮影し、その形態によって声区を4つに分類しました。技術の進歩に伴い、声が最初に生まれる「声帯」の動きを観察することで、声区を分類することが出来るのです。これ以上疑う余地のない、もっとも信頼できる分類だと思いませんか?実際の写真も、著書で見る事が出来ます。

ところが、この区分を前述したように胸声、頭声という言葉で表す場合がある。これは声楽科の経験から得た主観が入ってしまったためで、私は不適切であると考えている。この言葉は、声が身体のどこで響いているかという体壁振動感覚を示していて、直接声帯振動様式を表すものではない。

前述した、胸に響かせる声(胸声、チェストボイス)という表現は、歌っている人の感覚が入ってしまっており、主観的なものになっている、ということです。「響いている」と言うよりは「振るえている」という、振動の感覚になっているのです。

当ブログでもこの考え方に則り、声区分類はボーカルフライ、地声、裏声、ホイッスルボイスの4声区とし、用いる用語もこれらに限定し、それ以外使わないことを心がけたいと思います。

気になる「ミックスボイス」に関しても、とても感覚的な分類であると言えます。

駒澤先生は、この動画で「ミックスボイスなんてない」とおっしゃっています。

(1時間18分くらいのところ)

今後詳しく述べていきますが、ミックスボイスとは「声門閉鎖を加えた地声」「声門閉鎖を加えた裏声」、この2つをを指すと考えています。ややまどろっこしいですが、このように説明していこうと思います。