発声練習で認知症予防!?~デュアルタスクトレーニング

発声練習で認知症予防!?~デュアルタスクトレーニング




今回は、発声練習が認知症予防になる、という話をしたいと思います。

これまでに紹介したトレーニング、例えば呼吸+共鳴のダブル効果をねらったもので、「お腹を外側に張り出しながら声を出す」というのがあります。

案外難しいな、と思った方は多いと思います。また、いざ声を出す時に、すっかり忘れていることも多いでしょう。これには理由があります。

それは、この動作が「デュアルタスクトレーニング」だから、なのです。

まずは「デュアルタスクトレーニング」について、医学情報を引用します。

死ぬまで家族に迷惑をかけないために今すぐ知っておきたい
ボケない技術 40の心構えと習慣

医師の米山公啓氏の著書から引用

デュアルタスクとは、2つのことを同時進行で行うことで、たとえばジョギングしながら引き算を行う、しりとりを行いながら階段を上り下りするというような運動を言う。

普段声を出すという動作は、ほぼ無意識に出来ます。これに、「舌根を下げながら」「声門閉鎖を加えながら」などの動作を加えると、デュアルタスクトレーニングになるわけです。一つの動作を意識し続けながら、別の動作を行う。認知機能(注意の分散、ワーキングメモリ)を多く使い、脳の血流も増えるわけです。

大分県宇佐市安心院町ではデュアルタスクを続けたところ、対象者の9割に認知機能の回復が見られたという。

国立長寿医療研究センターでも、デュアルタスクトレーニングによるMCI(軽度認知障害)治療の研究や実践がされています。

もちろんこの発声練習がすっかり無意識に出来るようになったら、デュアルタスクトレーニングにはなりません。でも安心してください。最終的には、3つか4つの動作を同時に意識して行う発声もあるからです。歌の中で用いる場合、歌詞やメロディに合わせた発声を意識するならば、無限の広がりがあります。

もし発声練習が、目標に向けたやりがいのある取り組みであるなら、いい声で歌うことが楽しみを伴うものならば、認知症予防として積極的に取り入れられるべきものだと思います。デイサービスや病院のリハビリプログラムに発声練習が取り入れられるようになるよう、私もセラピストとしてノウハウや理論的根拠を構築していきたいと思います。