いい声は拡がっていく~すべてのボイトレーニーへのメッセージ
例えば職場に、声が素敵な人がいたとします。
日々声を交わしたり、会議で報告を聞いたりしているうちに、周りにいる人も、いつの間にかいい声になってきた・・・なんてことありませんか?
職場の雰囲気の中に、「いい声で話そう」みたいな意識が高まっていく・・・なんてことはありえませんか?
いい声であることは、生まれつきのルックスがいいことと同じくらい、憧れの対象となるのです。そして、ルックスを変えることは極めて困難ですが、声は変化させることが可能なのです。
「声帯模写」「モノマネ」という言葉が示すように、声というものは、周りにある音に似せることが可能なのです。
人に聞き取りやすく、はっきりとした発声でお互い話すようになれば、ミスコミュニケーションも減ってきて、仕事の効率も上がるでしょう。対人関係も良好になっていくでしょう。
いい声は、拡がっていくのです。
このことは、自分の声を良くしていく試みである、ボイストレーニングでも言えます。
ボイトレにはいろいろな段階があり、それぞれ課題は変わってくると思います。しかし、これから述べることは、すべてのボイトレー二ー(ボイストレーニングしている人)に共通して言えるマインドセットになると思います。
いま、自分の声の中で、もっとも響きが良く、厚みのあるいい声を探してみて下さい。声を出したりしゃべったりしながら、音程を変えたり、呼吸を変えたりして、いちばん自信の持てる、好きになれる声を探してみて下さい。
骨格の形、筋肉の量、口腔の容積は人によって千差万別です。自分の体に、一番よく響く声というものは、必ずあります。
それが見つかったら、その響きと、声帯のテンション(閉じ具合)と、呼吸の圧力(声門下圧)をそのままキープしたまま、音程を上げていってみて下さい。
おそらく、先ほど探した声というものは、比較的低目の声になっているはずです。そこから、上の方に拡げていくのです。
途中で声の質が変わってくると思います。響きが細くなってしまったり、声門下圧が強くなってしまったり。ガラガラ声になってしまうこともああるでしょう。そうしたら、また最初の声に戻って、今変わってしまった声の少し下の所までを、行ったり来たりして慣らしてみて下さい。繰り返し丁寧に練習することで、着実に上の方に拡がっていくと思います。
もちろん、一朝一夕に劇的に効果が実感できる類のものではありません。でも、ボイトレにはいろいろなトレーニング方法がありますが、根底で行っていることは、これなんじゃないかと思っています(地声と裏声をつなげる練習、高音に行くに従って空気を漏らす、等)。今、私がウォーミングアップで意識してやっているのは、まさにこれです。
この練習は、100%自分との対話です。得意な声、好きな声を伸ばしていく練習なので、モチベーションは維持できると思います。そして自分の声がよくなれば、それが周りの人にも拡がっていくのです。
全ての人の声がよくなって、いい歌声や話し声でのコミュニケーションが広がり、平和な世の中が拡がっていくように、願って今年の筆を置きたいと思います。
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