少なく素早く!~呼吸は、量とスピードが命!
歌唱に呼吸が大事そうなのは、素人でも分かります。
なぜならば、息を吐かないと、声は出ないからです。
でも、どのような呼吸をしたら歌唱に有効なのか、と考えると、とたんに分からなくなります。
そこで逆転の発想です。
呼吸には何が出来るのか。
呼吸にはどんなバリエーションがあるのか。
こっちの側面から具体的に考えることにより、歌唱につなげてみたいと思います。
呼吸とは、息を吸って吐くことです。
そのメカニズムは複雑ですが、現象としては単純なことです。
そこに、どういった要素があり得るのか。
吸うときにも吐くときにも言えるのは、次の二つです。
空気の量
息のスピード
空気の量とは、たくさん吐く、小さく吸う、などのことです。
たくさん吸えば、たくさん吐けます。
たくさん吸って、少しずつ吐くことも出来ます。
一定の量の息を吐き続ける、という技術もあります。
息のスピードとは、ゆっくり吸う、するどく吐く、などのことです。
ろうそくの火を消す時は、息のスピードは速いです。
ヨガの呼吸法などは、ゆっくり吸って、ゆっくり吐きます。
一定のスピードで吐き続ける、という技術もあります。
バリエーションとしてはこれくらいです。
少しずつ吐くと、同時にゆっくり吐くことになりそうですが、それは肺の空気を全部出す時の話で、少しだけ素早く吐く、なんてことも出来ます。
これらのバリエーションが、思い通りに出来るようになること、それが呼吸の練習です。
歌の表現や、安定した発声のためには、呼吸を思い通りに操れた方がいいです。
空気の量は、多い、中程度、少ない、の3段階
息のスピードは、速い、中程度、ゆっくり、の3段階
吸う、吐く、の2種類
それぞれ掛け算して、一通りやってみましょう。
苦手なものがありましたか?
この中で、特に歌唱に有効になりそうなのは、次のものです。
①たくさんの量の空気を、素早く吸う
②一定の量の空気を、一定のスピードで吐き続ける
③少ない量の空気を、素早く吐き出す
①は、いわゆるブレスの時に必要です。
②は、いわゆるロングトーンです。途中でゆれたりかすれたりせず、同じ音を伸ばし続けることは、出来た方がいいです。
③は、高い声を楽に出すために必要な技術です。
呼吸は応用的な技術です。共鳴や声門閉鎖の練習を積み重ねていく中で、いつか必要性を感じる時が来ると思います。伸び悩んだ時は、呼吸に立ち返って練習してみるといいと思います。