裏声を鍛えることの本当の意味
皆さんは、裏声を鍛えたことはありますか?
ボイトレメソッドの中には、裏声を鍛えることを推奨するものがあります。
地声と裏声のバランスが均等になったとき、ミックスボイスが出るようになる、とか。
ボイトレは、輪状甲状筋を鍛えるのが大切だ、とか。
私は、やや半信半疑でした。
だって、実際の歌唱では、裏声はエフェクト的な用途以外は、”使えない声”ですよね。
いくら裏声を練習しても、高い地声は出るようにはならないだろう、と思ってました。
しかしながら最近気付きました。
やはり力強い裏声は必要である。
その理由を説明していきます。
声門閉鎖を加えた裏声がある程度出る様になった頃のことです。
いわゆるミックスボイスが出るということなので、音域が広がり、色々な歌にチャレンジしていました。
洋楽を歌こともあるのですが、特にハードロック系のボーカリストのハイトーンボイス。これは何か質が違うような気がしてきたのです。
その正体は裏声であることは分かっているのですが、響きも厚みも、通常の裏声とは別物のような・・・。日本人と、外人の違いか、とも思いました。
でもそこで気付いたのです。
声門閉鎖を加えた裏声、いわゆるミックスボイス、ハイトーンボイスの正体が裏声だとしたら、響きと厚みのあるハイトーンボイスを出すには、土台となる裏声が強く響きのあるものでなければならない。
ここに、裏声を鍛えることの必要性が出てくるわけです。
裏声は、何も意識せずに出すと、非常に弱々しい声です。
これを強くするにはどうしたらいいのでしょうか。
まず呼吸ですね。
裏声の時は声門が開いているので、空気はたくさん流れていきます。
それでも十分に声帯を振動させることが出来るように、たくさんの息を吐けるように練習します。
少なく素早く!~呼吸は、量とスピードが命!
実際のハイトーンボイスでは声門閉鎖するので、そこまで息は必要なくなるのですが、練習なので、あえて閉鎖を加えない裏声で、たくさんの息を使えるようになった方がいいと思います。
次に、共鳴です。
通常裏声に響きを出すことはまずしないと思いますが、響きのあるハイトーンボイスを出すためには必要です。地声の時と同じように、喉の奥のスペースを拡げます。
まず何から?・・・共鳴から!~声を響かせる3つの方法
やってみると、なかなか気持ちいいです。
以下は補足的な内容です。
前述の輪状甲状筋(前筋)は、よく裏声を作る筋肉と言われていますが、働き的には声帯を伸ばす筋肉です。
声帯の筋肉を分かりやすく分類してみました!
ですので、これを鍛えても、声帯自体が厚くなったり張りが出たりするわけではないので、裏声が強くなることは無いと思われます。
声帯を伸ばす=声を高くする、ということですので、より高い声を出す、すばやく高音を出す、裏声のピッチを保つ、などのトレーニングにはなります。
地声を高くしていく時にも、輪状甲状筋は働きます。
裏声を鍛えることの意味が分からないと、なかなか練習しようという気になりません。響きと厚みのあるハイトーンボース、いわゆるミックスボイスを強化するために、裏声を鍛える、という理解のもとで練習していくことが大切です。